からしれんこん

クソ腐女子オタクの雑記。パーソナルなことはnoteで https://note.com/yu_kazokku 

陰ターネット虚無オタク、フレデリックを好きになる

 

4月中旬。4年半応援していた推しを降りた。

降りた理由は色々あったが、いちばんは、「本人が楽しそうなのがいちばんだで自分を庇いきれなくなったから」が、大きかった。

「やりたいようにやってくれたらいい」って言葉はすごく便利だ。好きになった面影を失いそうになっても、その一言でさも受け入れるフリをすることができる。私の意思なんぞ推しには必要ない。そう言い聞かせることができる。

もう、いつからその一言が本心だったか逃げだったかを思い出すことはできない。ただ、とっくの昔に「楽しい」よりも「ここまで見てきた事実と意地」が勝っていたということに、はたと気づいてしまった。

 

夢から覚めたら早いタイプのオタクなので、持ってた株式を売るようなノリでグッズの整理を始めた。正直書いてる今まだ3割も終わってない。4年半ってすごいね。

 

しばらくはゲームの実況プレイ動画でも見ながらのんびり過ごそう。もう気が狂いそうなほどの時間と金を注ぎ込んで躍起になって、意地と好意の判別さえつかなくなる行為を「推し活」と呼ぶのはやめよう。そう思った。

しかし4年半も生活の中心にしていたものが突然なくなると、人は生き方を見失う。週末のたびにあった現場がなくなり、友達はインターネットにしかおらずかつ時世でそう簡単には会えない。

 

暇だ・・・・・空虚だ・・・

 

と思っていた折、youtube何を基準にしてるんだかわからない本当にクソみたいなUIが一つの動画を勧めてきた。

www.youtube.com

フレデリックというバンドのライブ動画だった。

あー、知ってる曲だ。と思った。ニコニコ動画と骨を共に埋めようと決意の固い陰ターネット老人としては、音MADで馴染みの深い曲であった。

まぁ4分ぐらいだし知ってる曲聞くぐらいのノリでな……と、軽い気持ちで再生した。

 

は? 恋。

 

一瞬の感情。先の悟りを全て自分でぶちのめしてしまうほどの、最悪で最高の出会い方だった。

 

===

 

あらすじ。たまたま再生した動画で恋(と便宜上呼ぶ)した男がバンドのギターだった。

当然バンドなんかハマったこともない。推しの現場がなければ、薄暗い部屋でソシャゲに爆裂に課金しながら惰眠を貪るか自CP*1のピクチャーとノベルを探してるだけだったオタクにとって、これは対局のような存在だった。

夏フェスってあれやろ? ビール片手に陽キャが踊る場所やろ? あれに出てる人たち……という、もう、陰の陰が思いっきり偏見で語ってしまうような世界の住人なわけ。え? ハマるハードルたっっっっっか………絶対行きたくない、フェス………同類のオタクしかいない現場でさえ人多くて疲れてたのに………

でも、ギターの人がギターを弾いてるところ、生で見たい。すっごい見たい。絶対かっこいいんだろう。

 

いきなりフェスはオタクにはしんどいから、芸人みたいに単独ツアーとかやってたりしないかな〜。オタクは根暗だが同時に馬鹿みたいに単純なので、ひとまずバンド名で検索をかけた。

 

えっ、単独ライブある。6月に。

なんかまだチケット買える。ほんと?

 

 

正気じゃなくなっていたので、すぐ買った。

この時まだ「オドループ」しか曲を知らなかった。友達に総出で「気狂ったんか?」と言われた。狂ってる? それ褒め言葉ね……(老人のテンプレート)

直感が働いた時にこそ行動するべきなんですよ、オタクは。それが信条であったことを、不意に思い出した。

虚無に苛まれていても、フットワークの軽さは失ってなかったことがちょっと、いやかなり嬉しかった。自分が忘れかけていたときめきが戻った感じがした。

 

え!ライブ、死ぬほど楽しみ!!

ようやく赤頭隆児さん」という名前を覚えた私は、とりあえずサブスクでフレデリックと検索をかけたら出てくる曲を片っ端から落とした。

 

そしてたまたまGW中だったため、ライブ映像の大放出キャンペーンと重なった。これは見なくちゃな。手始めに『FREDERHYTHM ARENA 2018〜KOKYOのTOGENKYO〜』を見た。

 

1曲目が終わった時に、誇張なく泣いていた。

 

なんで泣いたかは、今も正直よくわかんない。ただ、すげぇ、すげぇ楽しそうだって思った。4人ともこれから絶対いいライブにすんぞって、そういう顔してるのに、キラキラしてるのに、そこで流れ出した曲に一抹の寂しさを感じた。

遊びに来たばかりのテーマパークの、入り口をそっと振り返るときみたいな。帰るときの景色をちょっと思ってしまうような。そんな感覚だった。

最高の日を確信する瞬間。オドループを越えて、その曲にベタ惚れした。

 

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映像を見終わった後でちゃんと聞き込んだのだが、『TOGENKYO』という曲だった。

誰だって僕だって君だって後悔を飲み干して
悲しくたってそんな顔みせずに笑って過ごしてんだ
もう朝だって昼だって夜だって常時向き合ってはいたい
天国だって地獄だって楽園は君にあったんだ

自CPについて語るときの私みたいな歌詞だ…………

友達に聞いてくれって歌詞見せたら、「日頃のお前かよ」って真顔で言われた。クッソ笑った。そりゃハマるんだわ。

 

一概に「エモい」と言ってしまうのも申し訳ない気がするが、フレデリックの曲は、ガチガチに心臓を掴むメロディに対してちょっと湿度のある歌詞だなと思う。そこが、すごく好きだ。

例えば新曲の『ジャンキー』

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ゴリゴリに跳ねるイントロ。口ずさみたくなるサビ。

着飾った愛も答えがあってそれはそれでジャンキー
偏った愛に染まってく品行方正も飽き飽きです

私が特に好きな歌詞はこの辺。

「偏った愛に染まっていく品行方正」って言葉、めちゃくちゃいいですよね。人間の悪い人間らしさみたいなものがすごく詰まってる感じがして、たまらん……と思う。字を書く人間として、康司さんの言葉の紡ぎ方マジで染みる。

 

このキャッチーさと絶妙に意味深な語彙、ボカロ曲嗜みまくってた人はハマりそうだなと勝手に思っている。「歌い手」*2に青春を捧げて生きてきた芋に優しいバンド。有難い。

気づけば、すっかり楽曲の虜になっていた。

スキライズム

スキライズム

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夜にロックを聴いてしまったら

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マッッジでどことっても自CPのことしか歌わないもんだから、康司さんに自CPの小説書いてほしくなってきたよな………

クソ腐女子の妄言でご迷惑かけないでください。

 

GW中に、もう一つライブ映像を見た。

ボーカルの健司さんが、アンコール中にこんな感じのことを言っていた。

 

俺らのこと知らなくてもいい、曲がわかんなくたっていい。

とにかく全員、音楽を好きだと思って帰ってくれ!

 

目から鱗だった。

お前たちのことが好きな人間しか来ないに決まっているだろう場所で、こんなに優しくて熱いこと言うんだって思った。

正直、ちょっとだけうざったいなと思う。うざったいのだけど、今の私にはたまらなく効いた。

 

「好き」って感情って、これぐらい軽やかでまっさらで、賑やかなものだったんだよなって。

またこの日も、少しだけ泣いた。

 

今まで「好き」を、「推し」を名乗るのに、途方もない力を注がないといけないと思って生きてきた。

誰に強要したいわけでもない。ただ、「好き」と言うなら本気の態度を示さなければ。推しは慈善事業じゃない、気を抜くとすぐに死んでしまうから。

 

「好き」「呪い」だと、どこかの誰かが言っていた。

私にはずっと、「好き」が、とてつもなく重たい枷だった。

 

もちろん、それでもずっと楽しかった。それは嘘じゃない。炎のように「好き」を燃やして生きるのが私自身への肯定で、エネルギーだった。

ただ、たまには薪をくべなくてもいっか!と言える日が来ないから、年中無休で燃やしていた。己を、感情を、灰になるまで。

炎は一瞬で消えた。灰まみれの暖炉は、酷くボロく見えた。

それが、たまらなく寂しかった。鬱になるぐらい。

 

健司さんの「好きになってくれ」って言葉には、焦りも濁りもまるでなかった。

磨かれたビー玉を見せびらかしてくるみたいだった。1個あげるって、フランクに。笑って言ってくるみたいだった。

私はそのビー玉を貰った。握った。冷たくってきらきらしていて、たまらなく嬉しかった。

それだけでいいんだと、思った。

大切にできたらもちろんいいけれど、きっと失くしても、健司さんは──フレデリックは、ライブを見るたびにビー玉をくれるのだ。きらっきらの、宝物にしたくなるようなそれを。

気軽に貰いに来いって、言ってくれる気がするのだ。

 

べつに、前の推しだって他のジャンルのみんなだって、フレデリックに関わらずそういうスタンスであると思う。私がそれに気づけなかっただけ。気づかせてくれたのがフレデリックで、健司さんだった。それだけの話だ。

でも、私にとってその言葉はきっと忘れることのできない魔法になって、私は前よりずっとずっと気楽に──フレデリックのことが、フレデリックの音楽が、「好きだ」と言える。

言ってもいいんだ。

本来「好き」とは、言うたびに、幸せな気持ちになれる単語なのだった。

 

===

 

来る6/29。

 

行ってきた。FREDERHYTHM ARENA 2022~ミュージックジャンキー~。

 

演出がすごかった~(Wanderlustのバック映像見た? もはやソアリンだったよな)とか。

念願のオドループのギターソロが見れた~(センターステージでやってくれたのマジで最高すぎなかった?)とか。

書こうと思えば書けることは一杯あるのだけど、そんなものはきっとプロのライブレポートがいっぱい書いてくれるだろう。

 

楽しかった。

もう、すっごい、すっごい楽しかった。

それだけでいいじゃん。な。

 

だってさ~~~オタクだからさ~~~?!

「今が一番かっこいいバンドでいたいから、一番かっこいいと思っている曲を最後にやります」

なんて言い放って最後に『ジャンキー』が流れ始めちゃったら、もう、わけわかんないぐらいかっこいいと思っちゃうよな~~~~?!  主人公?!?!?!? 漫画?!?!?!

そういうの大好きさになってしまった。地でクサいセリフ吐くな。マジで。

 

あと、一曲目が『名悪役』だったの本当~~に痺れた。アルバムで最後の曲を最初に?! っていうのも思ったんだけど、歌詞がすっと響いてきて。

思い出にされるぐらいなら、思い出を超えるくらいにさ

絶え間ない今を歌うから 二度とあなたを忘れない

ああ、このライブこの瞬間も、「絶え間ない今」なんだって思った。

 

思い出を超えるぐらいの、最高の今だ。

 

===

 

音楽を好きでいてください。色んな音楽を聞いてください。

そしてフレデリックに戻って来た時、オレたちがやっぱ最高だって思わせるためにオレたちも進んでいきます

 

ミュージックジャンキーで、健司さんがこんな感じの話をしていた。

正直、赤頭さんに一目惚れしたような感覚なので、他の音楽とかの話をされてもピンとこない。バンドにも詳しいわけじゃない。

ただ、オレたちを見ててくれと言われないことが、ひどく救いだった。

 

もう、自分でも制御できないほどの情熱を注ぐことはきっとない。ソシャゲして、自CPの本を買って、好きなアニメ見て好きなボカロ曲聞いて。現場の告知に恐れて欲しい服を我慢もしないし美容院代とチケット代を天秤にもかけない。それが寂しいともたまに思うけれど、でも、その寂しさの隙間は、フレデリックの曲が埋めてくれる。

そして、聞きに行きたいと思った時に遊びに行ったら、そこに最高が待ってる。

 

そんなわくわく感を持って、生きていける。生きていきたい、これからは。

そしたら、降りてしまった推しのことも、いつかまた愛せるような気がするから。

というか、最初はたぶん、そんなときめきを持って応援していたはずなんだよな。だから猶更、そう思うんだろう。

 

 

とりあえず次はツアーに遊びに行くつもり! チケット当たりますように~。

*1:自分が推しているキャラ同士の組み合わせのこと。ニュアンスは推しコンビに近い

*2:ニコニコ動画youtubeなどに既存楽曲のカバー動画をアップロードしている人のこと